未来を学ぶ SFに触れる

過去を知るために歴史を学ぶ されば未来を知るためにSFに触れよう

新しい自我の歴史が始まる~NieR:Automata~

ニーア オートマタ - PS4

これは呪いか。それとも罰か。


ポスト・アポカリプス 遠未来SF…

ここ最近は、廃墟を探索したい!という欲に駆られており、人喰いの大鷲トリコとNieR:Automataとで、プレイするゲームを悩んでいました。

結果としては表題にあるように後者を選択します。
ちなみに前作をプレイしていないため、ストーリー補完や感動ポイントは、外部サイトに頼ろうかと思っています。

ゲームとしての面白さや内容については、今回の記事では割愛しますが、わりと世界観が好みドンピシャでした。

■目的なき命はどこへ向かうのか

【ネタバレを含みます】
西暦11000年代。圧倒的に遠い未来のお話で、人類も滅亡しています。
アンドロイド(味方)と機械生命体(敵)の戦争。

何のために生まれてきたのかが明確な人、というのは少ないかと思います。
仕事や趣味、人に出会い、自分の中で納得のいく人生を歩むかと思います。

ただし、アンドロイドも機械生命体も、自分の遂行するべき目的が非常に明確に設定されています。

・アンドロイドは機械生命体を倒して人類に勝利をもたらす⇒人類はすでに滅亡しているため存在意義がなくなる
・機械生命体は、ただアンドロイドを倒すという目的を遂行する⇒倒しつくしたら目的が遂行できない

私は、生きる目的がなくなった経験が無いので、共感は想像の域を出ません。けれど、人生の目的は失うわけにはいかないはずです。かなり固執すると思います。

その呪いから解放されるには、新しい目的を見つける必要がある。
実は、すでに見つけている機械生命体がいて、コロニーを作っています。人間のまねごとをしています。
その”真似”が、いつか”本当のこと”になったら…

人類がいなくなったらどうなるのか。人類視点で考えれば、人類が滅亡した時点でその物語はゲームオーバーでしょう。では、NieR:Automataでは、私たちはバッドエンドの世界を見せられているのでしょうか。

主人公たち―2B、9S、A2。コロニーを作った機械生命体たち。方舟を打ち上げた機械生命体たち。
彼らが、人間なき今、生きる目的を見つけて歴史を作っていくこと。
機械がどう思うのかはわかりませんが、「それでも生きていく」という精神に大いなる希望――ハッピーエンドを感じずにはいられません。

■人がいなくても歴史は続いていく

ラストシーン(Eエンディング)は多少ぼやかされていますが、3人が目覚めた直後のやり取りが頭に思い浮かびます。
主人公たちは”復活”し、また”人生”を続けていくことでしょう。

機械生命体の残党を狩りつくすため?人類の軌跡を調べるため?
どんな目的であれ、あたらしい地球の自我の歴史が始まります。

人間が滅んだ世界は、つまりは人類の意識の果てで、それ以降に思いを馳せることに意味がなくなる。ゆえにバッドエンドであり、それを回避するためさまざまなSFでさまざまな登場人物が死闘を繰り広げてきました。

それでも、
人類のバッドエンド以降の世界、
その世界にいる、新しい”命”たちが、地球という揺り籠の中で新しい歴史を作る。

勝利や正義とは違う「希望の物語」。NieR:Automataにはそのようなものを感じました。

我々がいなくなっても、地球は地球のままで、争いもあるけれど、歴史は続いていく。それも自我を持った存在によって。
分かりやすいカタルシスはありませんが、安堵と希望がそこにはありました。

P.S.
このゲーム、すごくいいです。システム・ストーリー・サウンド…高評価なゲームである理由がわかりました。
あと、Eエンディングとよばれる真エンディングがあり、最終的には全ゲームデータを削除されるのですが、この時の画面上での「ゲーム」と「プレイヤー」のやりとりがすごく感動しました。泣いてしまいました。
こんなゲームは初めてです…ゲームデータなくなりましたが、ボリュームがちょうどいいので、また最初からやろうと思います。